Eternal wonder
なごみまくりの徒然日記。暇つぶしにどうぞ。

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儚き白昼夢                 

もしも、あの時君を置いて去ることがなかったのなら―――。
ぼくは今、君の中で絶対的な一番でいることができたのだろうかと考えることがあるんだ。
だけどその考えはすぐに打ち消される。
たとえ、ぼくが君の前からいなくならなくても、いつかはやってきた。こんな風に苦しんでもそれが当然だと思えるかどうかは別にしても。
それでも、迷いはきっと消えない。


「エドワード?」
突然身体を強張らせたぼくに、ベラは不安げに目を瞬かせた。
「大丈夫」
安心させるように耳元でつぶやいても、ベラの不安は収まらなかったようで、おどおどと辺りを見渡している。遠くから聞こえる狼人間の唸り声を無視して、ぼくはトレーに食事(あくまでもベラの、だ)を次々とのせた。
「ベラ。好きなものを取って」
小声で言うと、ベラはぎゅっと唇をかんでこちらを見た。
「どうして教えてくれないの?」
「何を?」
わざとらしく驚いてみせると、ベラは眉をひそめた。
「わかってるでしょ。何が起こるの?」
「別に何もないよ」
「嘘よ」
「嘘じゃない。ベラが心配してるようなことは起こらない」
「あたしの心の中は読めないでしょ?」
ぼくは鋭い口調に降参して、ため息をついた。
「別に大したことじゃない。ただ、ちょっとしたトラブルってだけさ。学校のすぐ近くにジェイコブがいて、マイクたちと一緒に雑談してるってだけだよ」
「ジェイコブが、マイクと?」
その口調に込められた悲しみと純粋な驚きとに、ぼくは改めて素知らぬ振りを通した。
たった1週間前、ぼくたちは命がけの戦いを終えたばかりだった。
吸血鬼の街で、ヴォルトゥーリ一族の餌食になるところだったけれど、何とか助かってぼくたちの平穏は戻ってきた。
それ以来、ジェイコブとは会っていない。会えない、といった方が正しいかもしれない。ぼくたちは、もう別々の世界の住人になってしまった。かつてもそうだったことに違いはないけれど、でもその小さな溝は今は決定的な違いになってしまった。
吸血鬼と、狼人間。
どう考えても、彼らが一緒にいることはありえない。敵としていがみ合うか、避けあうかのどちらかしか選択肢は残っていない。
ベラは今でも、ジェイコブと会いたいと思っている。口に出しては言わないけれど、何となくわかる。彼がつらい思いをしているんじゃないかと、心配しているし、寝言でもたまに出てくるその名を聞くたびに、ぼくは切なさと寂しさを同時に味わう。自業自得という言葉を、これほど実感したのは多分これが初めてで。
「ごめん」
「えっ?」
ぽつりとつぶやくと、ベラは驚いたような表情でぼくを見た。
君をジェイコブに会わせるわけにはいかないんだ。そう心の中でつぶやいて、ぎゅっと手を握ってぼくはトレーの中身を全てゴミ箱の中へ投げ捨てた。
「行こう」
「ちょっと、エドワード!!どこへ行くのよ?ジェイコブたちはどうなったの?」
「君が心配することじゃないよ」
強張った笑みを浮かべ振り返った瞬間、その場にぼくは硬直した。
どうして。どうしてここに現れる?ジェイコブ、どうして君が?
ぼくの視線を追ったベラが、息をのむ音が聞こえて、ぼくは顔をゆがめた。こうなる前に、ベラを連れ出すべきだったのに。苦い後悔がぐっとこみ上げる。
「ベラ、行こう」
再び手を引くと、ジェイコブが口を開いた。
「逃げるのか、エドワード!!」
声とともに、ねめつけるような視線を投げかけられ、ぼくは唇をかみしめた。どう考えても、ここで戦うのは明らかにまずい。自分たちの正体を知られるばかりか、ベラにも危険が及ぶかもしれない。どうしてあいつはマイクと一緒にいたりするんだろう。余計に事が厄介になる。
アリスはどこにいるのか考えながら、ぼくはジェイコブを睨んだ。
「ベラ。先に急いでここを出るんだ」
カフェテリアの中で、明らかに注目を集めているであろうこの状況から、何とか脱出したかった。
「待てよ。ベラにもいてもらいたいな」
ジェイコブの声に、ベラは迷ったような顔をしていたが、少し考えてぼくを見た。
「エドワード。ここはあたしにまかせて?」
「だめだ。絶対に」
狼人間をベラに近づけるなんて。ゾッとしてぼくは眉をひそめた。
「エドワード、大丈夫よ。ジェイコブだって、マイクと一緒にいるくらいだもの、何もしないわ。それに、いつかは話さなきゃいけないって、わかってるでしょ?」
「ベラ、頼むよ。今だけはぼくの言うことを素直に聞いてくれ。ちゃんとアリスに迎えに来させるから」
「エドワードってば・・・」
ため息をつくベラを見て、ぼくは顔をそむけた。
ジェイコブから彼女を引き離そうとしている本当の理由は、危ないからというだけではないことに、いい加減自分でも認めざるを得なかった。本当は、恐れているんだ。ベラが、ジェイコブに惹かれることを。自分のもとから去っていくことを。
このことも、そんな自分が嫌なことも、ベラには決して言えない秘密だけれど。
「マイクがこっちに来るわ」
ふと耳元でつぶやかれた言葉に、ぼくははっと顔を上げた。
「いったい何のつもりだ?」
イライラとするのを抑えられないまま、ぼくはマイクを待ち構えた。
「あのさ、ジェイコブがお前と勝負したいって言うんだ。その・・・ベラに誰が一番ふさわしいかを決めるために」
「そんなバカなことをするつもりはない。ベラが嫌がるからね」
少し遠慮したようにベラの方をちらっと見るマイクの目つきに、ぼくは唇をぎゅっとかみ締め答えを唸るように言い返した。
「本当にそうかな?」
突然背後から聞こえる声と威圧感に、ぼくは全身が嫌悪感に浸るのを実感した。
「ジェイコブ・・・どうしてここに来た?お前とぼくが同時にここにいるのは、良くないことだとは思わなかったのか?」
「まーね。でもさ、これは全部ベラのためだよ。ベラに本当にふさわしいやつが、一緒にいるべきだとは思わない?」
「少なくともお前に言われる筋合いはない」
いがみ合いのような状況で、意外にも口を挟んだのはマイクだった。
「あ、あのさ、何でそんなに喧嘩みたいになってるのか知らないけど、何だったらベラに決めてもらえば?その・・・勝負をするかどうかは。結局、相手はベラなんだし」
一斉に視線が集まったベラは、今にも泣きそうな顔でただそこに佇んでいた。
「ごめん、ベラ。勝負なんて、嫌だろう?君が嫌がるなら、やらないから心配しなくていいよ」
慌てたようにぼくが言っても、ベラは黙って首を振って地面を見つめている。
困ったようにぼくがそっとベラの手を握ると、やっと彼女は声を出した。
「今やらなくても、二人でこっそりやるんでしょ?だったら今あたしの前でやって。もう隠し事は・・・嫌」
最後にぽつりとつぶやかれた言葉に、ベラの本心が隠されているような気がして、ぼくは顔をゆがめた。
「ごめん」
かすかな声が届いたのだろう、ベラは少しだけ顔をあげてかすかに苦笑した。
「その代わり、条件があるの。絶対に、相手に怪我を負わせたりしないこと。血を見た瞬間に、やばいことになるのはお互いわかってるでしょ?」
「いいよ。喜んで相手になる」
いかにも軽いことのように言い放ったジェイコブは、かすかに腕を震わせた。
「ジェイコブ、あなた大丈夫なの?腕が・・・」
不安げにつぶやくベラに、ジェイコブは気丈にも豪快に笑って見せた。
「俺か?俺は平気だよ。そこのエドワードはどうだか知らないけど」
「ぼくは君を恐れたりなどしない」
「どうだかな」
互いににらみ合う感じになった二人の前に、再び邪魔が入った。
「あのさ、俺も混ぜてもらってもいい?」
「は?!」
マイクの提案に、度肝を抜かれたのはベラだけではなかった。
「お前が?」
「あんた、体力的に無理だと思うけど」
エドワードとジェイコブの言葉にもめげず、マイクはさらに言い募った。
「別に参加するだけなんだからいいだろ?」
「まぁそりゃそうだけど・・・」
ベラは不安げにぶつぶつと言っている。
きっと吸血鬼や狼人間の存在がバレるのではないかと心配しているのだろう。



「じゃぁ何で決める?体力か、知力か?」
ジェイコブの言葉に、エドワードがふぅと息を深く吐いた。
「何で勝負するかは、ベラに決めてもらうのが筋じゃないのか?」
「えっ?」
「何がいい?君にふさわしいと決めるのに、必要な要素は何?」
エドワードはジェイコブやマイクの言葉を代表して言ったのだろうけれど、あたしには彼の滅多に見せない苦しみがその言葉に隠されているような気がして、思わず言葉に詰まった。
「ベラ・・・?」
どこまでもあたしのことを考えてくれるエドワード。
あたしがどんなにひどいことを言っても、多分彼はあたしのことを優先してくれる。ありえないぐらいに、自己犠牲本能が強いから。
悲しいぐらい、あたしはエドワードを頼ってばかりだ。
そばにいないと苦しくなるし、これ以上大切にしてもらうことなんてできないのに、それでももっと愛してほしいと願ってしまう。
こんなにも自分勝手なあたしを、エドワードは好きでいてくれてる。
「ごめん、やっぱりだめ。あたしには・・・耐えられそうもない」
「どういう意味だ?」
「ベラ?」
エドワードの無言の困ったような表情と、ジェイコブとマイクの言葉に、あたしはうつむいた。
「ごめんね。やっぱりあたしは勝負なんてやってほしくない。たとえどんな勝負を何十回とやっても・・・あたしにはエドワードしか考えられないの。わかってくれるでしょ?ジェイコブは家族のような意味では愛してる。マイクだって、いい友達でいてくれる。でもね、エドワードはあたしにとって命よりも大切なの。あたしには、選択肢がないの」
つぶやくように言われた言葉に、エドワードは彫刻のように固まっていた。
「ベラ・・・。ごめん、やっぱり勝負なんてバカなことはしないから。もう、帰ろう」


「おい!!」
駐車場の前まで来たとき、背後から声が届いた。
振り向くと、カフェテリアの前でジェイコブが立ち尽くしている。
「ジェイコブ・・・」
かすかにつぶやいたベラの腰をぎゅっと抱き寄せ、ぼくは眉間にしわを寄せた。
この上まだ喧嘩を売るようなことを言うのだろうかと身構えたぼくの予想とは反して、ジェイコブは再び叫んだ。
「ベラのこと、ちゃんと守ってやれよ!また一人にするようなことがあったら・・・ベラを泣かせるようなことがあったら、俺はもう許さないからな!」
「ジェイコブ・・・」
ベラの驚いたような瞳を覗き込んで、ぼくはかすかに微笑んだ。
「わかってる。ぼくは、絶対にベラを幸せにしてみせる」
ありがとう。ささやかな思いだけれど、いくら感謝してもしきれない思い。
声には出さずに、そっとつぶやいた思いは、きっと君の心へ届いただろうか。


「エドワード」
アリスは無言で振り向いた赤銅色の髪をした弟に、改めてため息をついた。
別に格段防ぐことじゃないかもしれないけど、狼人間の近くにいるのは驚くほど危険なのに。
ましてや、ベラや他の人間がいる場所でなんて。
「あなたね、ベラだけで十分トラブルを引き起こしてるんだから、これ以上の問題を起こさなくていいのよ。それとも今の状況じゃ、そんなに不満?」
「何のことだ、アリス?」
訝しげに訊ねられた問いに、アリスは無言で肩をすくめた。
「とにかく、今日は学校へ行かない方がいいわね」
まだエドワードは不思議そうな顔をしていたが、最後にはこくりと頷いて部屋を出て行った。
きっと、ベラに学校を休むよう説得しにいくのだろう。
こうやって、たまには白昼夢に浸ると良いこともあるわね。
アリスは、面倒事を防ぐことができた自分に、一人満足げに微笑んだ。
「さぁ、あたしも今日はサボってジャスパーと一緒にいてもばちは当たらないわよね?」
乙女のような足取りで、アリスはジャスパーのもとへ向かうのだった。

30000打記念小説。natsuさんのリク「Vampire vs Human vs Werewolf」といことで・・・実際勝負しないで終わってますけど(爆)できるだけ原作に忠実に書こうと努力はしたのですが・・・努力は(汗)ちゃんとリクに沿えてるのか心配です・・・。っていうか、長々と書いていたものは全部現実にならず・・・アリスの予知で終わってしまった(苦笑)お持ち帰りはnatsuさんのみOKです。お粗末さまでした^^;

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