Eternal wonder
なごみまくりの徒然日記。暇つぶしにどうぞ。

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過去も未来も、共に                 

「アリス、そんなにまじまじと見なくてもいいじゃない」
あたしはため息をつきながら言った。
「あたしがそんなにぱっとしないのは、昔からわかってるでしょ?」
その発言にエドワードは顔を少ししかめたけれど、何も言わない。ただ黙ってあたしを抱きしめているだけ。多分、反論してもあたしが納得しないのがわかっているから。
あたしの小さな部屋に三人もいると、何だかいつもより窮屈に思える。
冷たいフローリングの床に座って、木目を指でなぞって気を紛らわせる。
エドワードが近くにいると、(いい意味でだけれど)心臓がどきどきしてまともに行動できない。
そんな恥ずかしいことを、アリスにはあまり気づいてほしくなかった。どっちにしろ、もう気づいているんだろうけど。
「そんなこと思ってないわ。だけど、写真の数がずいぶん少ないのね」
「そういえば、ぼくと一緒に撮った写真しかないね。小さい頃とかの写真、ないの?」
「えっ」
あたしは思わず言葉につまった。
小さい頃の写真なら、ある。だけどそれを見せるのは気が進まなかった。
チャーリーとママがここフォークスで暮らしていた短い期間に撮った写真は、チャーリーに頼み込んでリビングから撤去してもらった。自分が見ているだけで顔から火が出そうなものは、とてもじゃないけど他人がくる場所へは置けない。
「どうしたの?」
アリスの不審そうな目線に負けそうになって、あたしは目をそらした。
「ううん、何でもない。小さい頃の写真は、ここに来たときに処分しちゃった」
嘘が下手なのは前々からわかっていたことなのに、あたしはまたしても嘘をつかざるをえなかった。おまけに究極なのは嘘をつく相手が何でもお見通しの吸血鬼二人組だったこと。
自分でも悲しくなってくるぐらい、あたしの嘘はバレバレだった。
おかしそうにくすくすと笑うアリスはまだマシ。エドワードはというと、黙ってあたしを睨んでいる。どうして隠そうとするのかがわからないんだ。
「ベラ、諦めなさい。力ずくで見るか、ベラに見せてもらうか。どっちかなんだから」
呆れたような口調でアリスに言われても、全然嬉しくない。あたしの恥さらしになるのは目に見えているんだもの。
「やだ」
強情なあたしの気を変えさせるのは、アリスの技をもってしても無理だった。今回は。
絶対にエドワードの瞳を見ないようにして、あたしはだんまりを決め込んだ。と、言ってもエドワードは後ろから抱きしめているだけだったから、顔は見えなかったわけだけど。
「ベラ・・・」
エドワードはいつもの頼み込む口調であたしに話しかけた。
「頼むよ、見たって恥ずかしいことは何もないさ」
「あるもの」
あたしは半分ふてくされて答えた。エドワードは慰めてくれるだけだからまだいい。だけど、アリスに関してはそんな気楽な判断は確信できなかった。きっと爆笑するに決まってるもの。
あたしのすねたような態度に、アリスは少しだけ考えるような表情を見せた。
「そんなに嫌なら、あたしだけ抜ければいい?」
そして、エドワードに何かを知らせるように目線を送る。エドワードは少しだけ顔をしかめたけれど、しばらくしてこくりと頷いた。
「ベラ、どう?」
あたしはむっとした。本当に見られたくないのに。
どうしてこんな天使みたいに、ううん、天使なんかよりずっとクールで神々しい生き物が、あたしなんかに興味を持つんだかさっぱり理解できない。あたしには、そこまで魅力はない。
黙ったままのあたしに、アリスは呆れたように肩をすくめて部屋から出て行った。
踊るような足取りを見て、なぜだか無性に悲しくなる。
「ベラ」
優しく問いかけるような声音に、思わず振り向いてしまう。
あたしから少し離れていたエドワードの顔は、思ったよりもずっと近くにあった。間近に見える、うるんだゴールドの瞳に何も考えられなくなって、あたしは大きく息をする。
「な・・・に?」
「頼むからさ、写真」
「だめ、だってば」
言いながら、酸素が十分に行き届かず、あたしはまた失神しそうになった。
ふらりとした身体を支えられて、慌てたような表情のエドワードがベラと呼ぶのが聞こえる。くらくらとした頭で、あたしはエドワードを睨んだ。こうなったのはエドワードのせいだもの。間違いなく。
「本当に、どうしてそこまで嫌がるかな」
四分の呆れと六分の好奇心で満たされた言葉に、あたしは顔をゆがめた。
「見たら絶対に笑うもの」
「そんなことないさ」
「ううん、あたしにはわかってるの」
しかめ面のままで答えると、エドワードはなぜだか後ろめたそうな顔をした。
「どうしたの?」
頬にふれたあたしの指をそっとなでて、エドワードは目をそらした。途端にあたしは不安になる。
「ねぇ、何かあったの?」


階下では、アリスの奮闘が続いていた。
「あーっもう。いったいどこに隠したのよ、ベラったら。おっかしいなぁこの辺にあるはずなんだけど。やっぱりエドワードがいないと不便ね」
そう言いつつ、アリスの中には少しだけズルをしようという気持ちがわいてきていた。
「まぁちょっとくらい、いいか。エドワードだって見たいのは同じなんだから」
そう勝手に解釈して、ズルをしてはいけないというエドワードとの約束は破棄することにする。
「さぁあたしはどこで写真を見つけるのかな・・・?」
瞑想にふける彼女を邪魔する者はいない。


カチャリ。
ドアが開かれたと同時に、アリスが楽しげに入ってきた。
「あれっ、アリス。何か忘れ物?」
あたしは慌てたようにたずねた。アリスはたった15分前に家に帰っていったはずだ。もちろん、15分もかからずに家にはたどり着けるのだろうけれど。
「ううん。もちろん違うわ、ベラ。エドワード、はい見つけたわよ」
満面の笑みを浮かべてエドワードにうすい紙袋を手渡すアリスを見て、あたしは何かがおかしいと思った。どこかで見たような袋。
「ちょっと待って。それ、何?」
悪い予感が胸にこみあげるのを感じながら、あたしはたずねた。多分表情が相当必死だったはず。
エドワードは黙って答えない。
一瞬の沈黙があったのち、エドワードは素早い―だけどとても優雅に―動きで袋の中身を取り出した。
その正体に気づいた瞬間、あたしは真っ赤になった。
なぜなら、それはあたしが必死に隠そうとしていた小さい頃の写真だったから。
怒りのあまり涙が出てきたあたしを、アリスはぞっとしたように見つめて後ずさった。
「ちょっとベラ!あなたどうしたの。ひどい顔になってるわ」
その瞬間には、冷たい腕があたしを抱きしめていた。
「悪いけど、アリス。ひとまずここから出てってくれ」
強張った声のエドワードに、アリスは罪悪感のにじみ出た表情であたしを見ると、すぐに部屋から去っていった。
ちょっとだけやりすぎかもと思うけれど、涙が止まらないのは仕方がなかった。
「ベラ、ごめん。君を怒らせるつもりはなかったんだ」
静かに言われた言葉に、あたしはしばらく黙っていた。泣いたあとはいつも声がかすれてしまうから。
「ごめん。もう見ないって約束するから」
不安そうにざらついたベルベットのような声に、あたしは少しだけ安心した。
少なくとも、エドワードはあたしの写真を見て笑ったりしなかった。ほっと力を抜くと、エドワードはまだ不安そうにあたしを見つめている。
「もう大丈夫。さっきはごめんなさい。恥ずかしかっただけなの」
うつむいてつぶやくと、ひそやかな笑い声が頭の上で響いた。
「?」
「いや、君のことで笑ったんじゃないんだ。アリスのやつがさ、君の写真を探し出すって言ったのはいいんだけど、絶対予知能力を使わないってぼくと約束してたんだ。なのに、使っちゃったらしくて、今すごい後悔してるわけ。そんなことを思う前に、君に謝ればいいのにさ」
「そんなことしてたの?」
「ごめん」
後悔したような表情をしながらも、エドワードはどこかおかしそうな顔をしていた。
二人の絆に、少しだけうらやましくなる。
「でもいいわ。見ても許してあげる」
そう言って、あたしは床に落ちた袋を自分で拾い上げた。5分前だったら絶対に隠そうとしたであろう写真。エドワードが手にとった一枚だけが、微妙に袋から出ている。
「はい」
手渡すと、エドワードはかすかに頬を緩めた。
「小さい頃から転んでたんだね」
一緒になって写真をのぞきこむと、小さいあたしが家の前でつまずいて泣いている写真だった。思わず照れて笑ってしまう。
「そうね。あたしは昔から運動神経が異常に悪いのよ」
その言葉に、エドワードはくすっと笑った。
「でも今よりは良かったんじゃない?」
「うーん、どうかな。あたしはそんなに変わらないと思う。チャーリーに聞けばわかるけど」
そこで突然エドワードはふいっと窓の外を向いた。
「許してくれたのは・・・どうして?」
急に話題が変わったことで、あたしは少しまごついた。
少しだけ黙って、エドワードの冷たい指先をなぞる。
ぎゅっと握り返してくる手に、あたしは思わずにっこりした。
「あなたには、あたしの過去も知っていてほしいと思ったから」
そうささやいて大きなゴールドの瞳をのぞきこむと、それはかすかにゆらいだのち、大きく笑顔に変わっていった。

「エドワードが、恥ずかしがって嫌がるベラに無理やり子供のころの写真を見せてもらってる」というリクでした。少しはそれらしくなっているでしょうか・・・?大したものではないですが、復活記念ということで(笑)

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