Eternal wonder
なごみまくりの徒然日記。暇つぶしにどうぞ。

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幸せのカタチ                 

雪山は怖い。と言っても、そんなにここは標高も高くなくて山とは言えないかもしれないけど。
そう知っていたはずなのに、どうしてあたしはついてきてしまったのだろう。
本当に馬鹿だったとしか言いようがない。
唇をぎゅっとかみ締めてから、慌ててやめることを数回繰り返して、あたしはため息をついた。ここで血が出たらまた悲惨なことになるのは目に見えているもの。
「エドワード、あたしやっぱり帰る」
もうこれで10回目以上になる。
「ぼくはまだここにいるつもりだけどな。でもベラは先に帰ってもいいよ?」
あのいわくありげな微笑みを浮かべ、ささやいてくるエドワードは本当にタチが悪い。
反論する前に、息ができなくなってるあたしのことをわかってるんだもの。
「あたしが一人で家まで生還できるわけないってわかってるくせに」
最後の抵抗を試みながらも、あたしはエドワードをにらんだ。
「もちろん、ぼくはベラを一人で家まで送るつもりはないよ。アリスかエメットをつける」
そう言って、かすかに笑い声を漏らすエドワードに、あたしは降参した。
どうしたって、エメットにはからかわれるだろうし。こうなったら、とことんついていくしかないんだろう。
今日のエドワードはいつもより少しだけ意地悪だわと思いつつ、あたしは必死でずり落ちそうな腕をエドワードの首に巻きつけた。


昨日は大雪で、ここフォークスにも大量の雪が積もった。
ずっとエドワードと部屋の中にいたから、寒くはなかったけれど、それでも雪を見るとぞっとするのは変わらない。凍った地面ほど、あたしの命を狙ってくるものはないもの。それに雪の日はタイラーの車事故を思い出させる。
でももっとサイアクなのは、雪の日になると必ずアリスが遊びたがることだ。
あたし抜きでやってくれればいいのに、エドワードはあたしを離そうとしない。
それにアリスは、あたしがもっと外で遊んだりするべきだという固定観念を持っているから。
カレンたちには、雪山なんてちっとも怖がる必要のないものだ。
人間と違ってすさまじいスピードで歩けるし、雪に埋もれて死ぬこともない。だいたい、寒さなんか全然平気なんだから。
今日は、アリスの提案でここに来た。
雪合戦やら鬼ごっこ、野球などいろいろやるつもりらしい。最も、ロザリーは優雅に頂上でくつろいでいるけれど。
「エドワード、もういいから。下ろしてくれないと手がつっちゃいそう」
エドワードのせいで大げさな防寒具の中にくるまっているあたしは、寒さは感じなかったけれど、それでもずっとおんぶの体勢はきつい。
それを聞くと、エドワードはくすっと笑みを漏らすと、突然あたしを下ろした。
思わず地面に倒れこみそうになるあたしを、ぎゅっと抱きしめて再び持ち上げる。
でもそこで、見える景色ががらっと変わった。
「きゃっ」
自分の身体が突然宙に浮く。
「エドワード、何してるの。早く下ろして!!」
お姫様抱っこなんて。とてもじゃないけど、恥ずかしくて無理。
おまけにエメットたちだっているっていうのに。
「何で?さっきの体勢に疲れたんだろ?」
「そういう問題じゃないでしょっ!恥ずかしいからやめてってば」
「保健室に行ったときは平気だったじゃないか」
そこで身体ががくんと揺れる。しっかりと支えてくれているとわかってても、やっぱり怖い。
平然と話すエドワードをにらみつけながら、あたしはあたふたと彼の首に手をまわす。
さっきよりは距離が近いから、楽といえば楽だけど・・・。
「別に平気じゃないわよ。あのときはホントに恥ずかしかったんだから!」
頬が真っ赤になっていくのを感じながら、反論する。
「そう?」
おもしろそうにつぶやくエドワードの腕をぱしぱしと叩きながら、早く下ろしてと叫ぶが、全然聞いてもらえない。
そうこうしているうちに、頂上についてしまった。
「おっ。ベラはお姫様抱っこか」
そう言って爆笑しはじめるエメットの言葉に真っ赤になりながら、あたしは慌ててエドワードに下ろしてもらった。今度こそは自分の足でしっかりと立つ。
気づいたときには、目の前にアリスが立ってにんまりと笑っていて、あたしはむっと頬をふくらませた。企画したのはアリスに決まってる。思い通りに事が進んだことに満足してる顔。
あたしはため息をついて、アリスに訴えた。無駄だとわかっていたけれど。
「ホントにアリス。あたし、寒いのが苦手なのよ」
「でも今は寒くないでしょ?」
笑顔でそう言われると反論できない。一応事実なわけだし。
「そうだけど・・・あたしがいてもお荷物になるだけよ。あたしはただの"人間"だもの。みんなとは遊べないと思うけど・・・」
アリスはあたしの言葉に、ため息をついて目をぐるんとまわした。
「ベラって、すごーくこういうところは鈍いのよね。あなただってもうすぐあたしたちの一員になるんだから、今のうちに慣れておいて悪いことはないでしょ。それにベラはもっと外で遊んだ方がいいのよ」
「そんなの、なってから何度でも慣れる機会があるじゃない。それにあたしがアウトドア派じゃないのは、アリスだって知ってるでしょ」
「ベラ・・・」
アリスは、あたしの言葉に深く傷ついたような表情をして、懇願の目線を送ってきた。
演技なのはわかっていても、やっぱり罪悪感が芽生えてくる。
「うわっ、もうやめてよアリスまで!あたし、こういうの苦手なんだってば!」
「でも、あたしのことは嫌いじゃないでしょ?」
「んもうっ!・・・あたし、見てるだけですから」
「もちろんそれでOK。どうせやる羽目になるんだから」
アリスはもうすっかりご機嫌で、あたしをぎゅっと抱きしめてから走っていってしまった。まるでバレリーナのような足の運びに、うらやましくなる。多分、あたしが吸血鬼になったあとだってあんな風にはなれそうもない。
エドワードは困ったような表情をして、あたしのそばに佇んでいた。
「大丈夫だよ。君はここにいるだけでいいから」
「そうね。でもどっちにしてもエメットにはからかわれるから」
「それは確かにそうだな」
くすっと笑ったエドワードは、そっとあたしを抱き寄せた。
「エズミと一緒に見学してて」
うんと頷くと、エドワードは素早い動きでエメットとジャスパーが遊んでいるそばへ走っていった。
「みんなは何をするんですか?」
「いつもは野球だけど、今日はわからないわ。こんなに雪が積もってるから雪合戦とかかもしれないわね。カーライルは雪合戦はあまりやりたくないみたいだけれど」
エズミは優しい表情でエドワードたちを見守っている。
少しすると、ロザリーが頂上からすたすたと下りてきた。
と同時に、みんなの鬼ごっこが始まる。あまりに早すぎるスピードに、あたしは目を白黒させながらみんなの動きを追った。エドワードの肌のまぶしい輝きに、目がくらんでしまう。
「ベラは寒いのが苦手なのね」
あたしは、突然となりで歌うように言われた言葉に、はっと我に返った。
「あっ、うん。そうね、寒いのも濡れるのも嫌いだから」
そう言った後、あたしはそっとロザリーの横顔を眺めた。すごく綺麗な肌。あたしなんかが絶対かなうわけのない美しさに、あたしはほんの一瞬目を奪われた。
「ロザリーは参加しないの?」
「あたしも寒いのや濡れるのは嫌いなの」
恐る恐る話しかけると、思いのほか楽しそうな声が返ってきて、あたしは少し微笑んだ。
ロザリーにとって、家族と―――特にエメット―――一緒にいることは、何よりも大切な時間なんだ。今の人生に変わる前に叶えられなかった夢に、最も近い形だから。たとえ、悲しい終わり方だったとしても、今のロザリーにとって一番大切なものを守るためなら、彼女はきっと何だってするだろう。
人間に憧れながらも、自分の人生をできる限り守ろうとしている。どうしようもない運命に導かれてしまった自分の運のなさを嘆きながらも、じっと耐えて今ある幸せの形をひたすらに保とうとしている彼女の生き方は、きっと誰よりもつらくて切ない。
あたしはそのロザリーの願いさえも、聞く耳を持たず吸血鬼になろうとしている。それがあたしにとってどんなに幸せだったとしても、ロザリーはきっとつらい思いをする。そのことがわかっている分、あたしはロザリーに申し訳なくなる。
もしもエドワードのそばにいられることがなかったら、あたしはこんなひどい仕打ちをしないだろう。もう十分に、彼女は苦しんでいるんだから。これ以上ロザリーを追い詰めたくないのに、あたしにはそれができない。ジェイコブと同じだと思った途端、あたしは自分の運を呪いたくなった。どうしてあたしの人生はこうもひどいことが起こり得るのだろう。


しばらくすると鬼ごっこは終了し、雪合戦になった。
ものすごいスピードで行き交う雪玉に、あたしは思わずくすくすと笑みを漏らした。
こっちに向かって飛ばしているわけじゃないのだろうけれど、粉雪がすごい勢いで飛んでくる。
次の瞬間、怒ったようなため声がすぐ隣で聞こえて、あたしはびくっとした。
「ロザリー?」
そっと目を開けると、大量の雪がロザリーの足元に溜まっていた。多分、投げたのはエメットだ。ロザリーにそんなことをできるのは、彼ぐらいしかいないもの。
「お前もそんなとこで座り込んでないで、こっち来いよ!」
エメットの言葉に、ロザリーは無言で顔をしかめた。
「あたしは参加しないって言ったはずでしょ?」
「ロザリーったら。そんなつまんないこと言わないでよ。ベラもそこにいるんでしょ?一緒に連れてきて」
アリスが呆れたように言ったのが聞こえて、あたしは思わずぎゅっと両手を握った。絶対に、アリスなんて一生許してあげないんだから。
「ベラ?」
ちょっとためらいがちなロザリーの左手があたしの方へ差し出された。どうしよう、と思いつつもあたしはそっとロザリーの手を握る。その瞬間、反対隣にエドワードが現れてあたしはほっとため息を漏らした。
「一緒にやりましょうか」
諦めたような、それでもどこか楽しそうなロザリーの言葉に、あたしはこくりと頷く。
「僕が守ってあげるから大丈夫」
過保護ね、というおかしそうにつぶやく声は聞こえないフリ。
ゆっくりと耳元でささやかれた言葉に、あたしはうんと頷いてエドワードに抱きついた。


多分、幸せのカタチは決まってない。たとえどんなカタチであったとしても、それは代償を払っても守るべきものなんだろう。
"今"という瞬間は二度と戻ってこない。それは時の流れから一歩遠ざかっているここのみんなも同じ。
目に映る、雪玉の素早さに思わず目をつぶりながらも、あたしは"今"という幸せをひたすら思い出に刻み込もうとしていた。


小説書くの久しぶりすぎて、感覚がつかめません(笑)一応カレン一家全員登場です。

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