Eternal wonder
なごみまくりの徒然日記。暇つぶしにどうぞ。

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記憶                 

自分の悲鳴で目が覚める。いつものこと。もう、チャーリーも見には来ない。
エドワードが夢の中に出てくる。もう思い出さないって心の中で誓ったのに。思い出すにはつらすぎる記憶だから。
なのに夢の中で彼は容赦なく現れる。あの、森の中で別れる前の日々のエドワードが。
つらいのは、夢から覚めたとき。
まるでエドワードはあたしを壊そうとしているみたい。
これ以上この痛みがひどくなるなんて・・・。
本当の意味で彼のことを忘れられるなんて、ありえない。もちろんあたしは人間だから記憶は薄れるかもしれない。
でも、彼のことを忘れるなんてできない。きっと。
生きる意味も、人生も、そして未来さえもあたしは失ってしまった。
地球が壊れるのだって、これよりはマシなはず。
少なくとも、この胸の痛みは。心臓がないんじゃないかと、本気で疑いたくなる。


昼間―――つまり、ジェイコブと会えてるとき―――は抑えられてた胸の痛みは、夜まではごまかせない。ジェイコブは、あたしにとってもうなくてはならない薬。
もし彼があたしを拒絶したらホントに壊れてしまうかもしれない。
ジェイコブは時間がたてば、あたしが変わると思っている。
でもジェイコブのことを"恋愛対象"として本当に好きになることはできない。
それはあたし自身がよくわかってる。
エドワードと出会う前だったなら・・・。彼を知る前だったなら、もしかしたら好きになれたかもしれない。
ジェイコブと一緒にいるとホントに安心する。
あたしみたいなグズでも優しくしてくれるし、まるであたしの気持ちがわかるみたい。
そしてスルーできないのは、あたしが意識しなくてもジェイコブに笑顔を向けられること。他の人に対してはそんなことできない。今のあたしはゾンビなのだから。おまけに、ジェイコブはあたしに温かい笑顔を返してくれる。
エドワードの名前は絶対に口にしないし、つらそうな顔をしているわけじゃないのにいつの間にか気づかれてる。
だけど、それは違う意味での「好き」だ。
親友としてなら、彼以上にいい人はいないと思う。
わかってる、あたしは勝手なことを言ってる。ジェイコブを傷つけたいの、ベラ?あんなに良くしてくれてるのに。
バイクだって修理してくれてる。ただあたしのためだけに。
なのに、その気持ちには応えられない、なんて。
ふざけているにも程がある。自分でもそう思う。
ジェイコブに言った方がいいに決まってる。ごめん、って。謝ればわかってくれるかも。かなり可能性としては低いけど。
そうすれば、彼も少しは傷つくかもしれないけどすんなりとあたしから離れていける。
あたしはつらくなるけど、ジェイコブに支えられる前のあの”ゾンビ”の生活に戻るだけ。
ちょっとした幸せが逃げていくだけの話だ。だいたい、こんな風になったのもびっくりなんだし。
でもチャーリーはどうするだろう。あたしがまた”ソンビ”の生活に戻ったら。
今度は本気でフロリダに行かせようとするかもしれない。もしくは、精神科へ行けって言われるかも。
あとは、ジェイコブのせいにするとか。どうしよう、そうなったら。彼が悪いわけではないのに。やっぱりそんなことになるなんて耐えられない。
せめて、この悪夢を見なくなるまでジェイコブにそばにいてもらおう。
でも頭の中を疑問がぐるぐると回る。
本当にこの悪夢を見なくなるときが来るの??
あたしはその疑問を頭から追い出す。
そんなの、いつかは来るでしょ!
そう願ってるだけ。この悪夢は多分簡単には消えない。
あたしも吸血鬼になりたかった。そうすれば夢なんて見なくてすむ。ま、起きてる方がつらいかもしれないけど。だけどエドワードのそばにいられる。
でもその夢はもう永遠に叶わない。
失われた選択肢だから。もうアリスに会うことも、きっとない。
涙が一粒ベッドに落ちた。
あぁ、アリス。嗚咽が思わずもれる。


もし―――あの誕生日パーティーが無事に終わっていたら。
そうしたら、今あたしはどんな風に過ごしているだろう?
エドワードと一緒にいるかな?ううん、それはありえない。
別にエドワードはあの事件がきっかけになっただけで、元からあたしとなんて一緒にいたくなかったのかもしれない。
あの森での別れが頭の中によみがえってくる。
止めようとしても、まるで映画みたいに言葉が流れ出してくる。
「ぼくは君に来てほしくないんだ」
そこで映像が一瞬止まる。あたしの心臓も。
エドワードの瞳。まるで凍ってるみたい。
ほら、こう言ってる。
エドワードがあたしと一緒にいる理由なんて、ひとつもない。
あたしには、何にもないもの。だからこれは自然な成り行きだったんだ、きっと。
諦めるのよ。そう頭の中で声がする。
わかってる、そんなの。とっくに諦めてる。
でもこの痛みはどうして消えないんだろう。
こんなにエドワードのことを思い出したのなんて久しぶりだ。
おかげで心臓が引き裂かれたみたいに痛い。
すべて忘れられるなんてウソじゃない、エドワード。こんなにもあたしの記憶の中はあなたでいっぱいなのに。
どうせならエドワードと出会わなければ良かったのかもしれない。
そうすればこんなにつらい記憶をひきずらなくてもすむ。
それにどうせ間違ったことになるのなら、最初から間違いを直しておくべきだった。
あたしたちは、どんどんからまって、もう切ってしまうしかなくなった毛糸玉みたいなものだ。
もしあたしが彼と出会わなければ、きっと今頃はマイクとかジェイコブとかそういう人と付き合って、平凡な毎日を送ってるはずだ。その風景は今でもリアルに思い浮かぶ。焼け付くような熱に身をまかせることはなく、ただひたすらに穏やかな恋。
でも本当は、彼と出会ったことは後悔してない。
あれは幸運だったと確信できる。
あんな風に幸せな毎日が送れたこと。そ
れは感謝してる。・・・どんなに短期間だったとしても。
あたしにとってかけがえのないもの。それをエドワードはくれた。一瞬で失われてしまったけど。
いつかこの記憶を忘れられることができるのなら、エドワードのことを思い出しても平気になれるのかな。もしそうなら、あたしは頑張って今を生きるしかない。それまで記憶を頭の中に閉じ込める。
あたしは涙を手で拭うと、もう一度眠りについた。


目の前でひざをかかえてソファに座っているアリスを見て、あたしはまた安堵のため息がこみあげた。
彼女を姿を見るだけであたしがこんなに安心しているとは、きっとアリスも想像していないだろう。
いっぱいいっぱいなことは、アリスにも十分伝わってるみたいだった。
まるで労わるように背中をさすられて、思わず嗚咽が漏れそうになる。
あたしにはそんな価値ないのに。
そんな言葉をかすれかすれにつぶやけば、アリスは怒ったように眉をしかめてあたしを睨んだ。
「ベラ」
「何?」
「あなた、もうちょっと眠った方がいいわ。ストレスでそのうち胃に穴があいちゃうわよ」
「・・・眠くないもの」
嘘をつくのも、だんだん上手くなってきた。チャーリーを心配させないための隠し事が増えたからかも。
だけど、アリスの目はごまかせなかった。
「そんなわけないでしょ。あなた、疲れきってる。あたしはどこにも行かないから、ちゃんと眠って」
あたしは唇を噛んだ。どうしたってアリスには逆らえそうにない。
その瞬間、あたしには考えが浮かびアリスは顔をしかめた。
「ちょっとベラ、あなたが興味を持ちそうな話題なんてないわよ」
あたしが頼もうとしたのは、カレン家の皆の話だった。ただしあの人を除く。今何をしているかだけでもいい。十分な気晴らしになるはずだ。
「あたしも知りたいのよ」
もしかしたら家族になってたかもしれない人たちのこと。
その言葉は胸を貫く苦しみで言い終えることができなかった。でもアリスは察して、短く息をついた。
「分かった、でもおもしろい話なんて一つもないからね」
頷いてフローリングの床にそっと腰を下ろす。眠くならないようにコーラを飲んだ。
「エズミは、家の修理に力を入れてる。今いる場所は前ほどは・・・快適じゃないから」
「カーライルは診療してるけど、そこまで医者の数が足りないわけじゃないから、そんなに忙しくはなさそう。ロザリーは・・・そうね、いつもと変わらないかな。車の調整にまた凝ってる。新しい機種が出たから欲しいんだって。エメットは変わらない。あなたがいないことをたまに嘆いてるけど、あの人の前ではそれも言わないし」
思わず思い出しそうになった名前を慌てて打ち消して、あたしはたずねた。
「ジャスパーは?デナリへ本当に行っていたの?」
「うん、それは本当」
アリスは申し訳なさそうに微笑んで続けた。
「だけど、すぐにカーライルたちに合流した。今は落ち着いてるけど、当時はすごかったから」
眉をしかめてアリスが言ったことで、あたしはジャスパーが苦しんだ原因をまざまざと思い出し黙った。
アリスもその沈黙に便乗したように、話さなくなる。
「・・・アリス」
「何?」
「皆に会ったら、ありがとうって伝えておいてね。あたしが感謝してること、忘れずに伝えて」
「ベラ」
ショックを受けたようなアリスの口調に、あたしはたまらなくなって背を向けた。
この苦しみを味わうのは、あたしだけで十分だ。アリスまでが背負う必要はない。
「あたし、眠くなってきたからそろそろ寝るね。話してくれてありがと」
明日もいてくれる?
そう聞きたかったけれど、明確な答えが返ってくるのが怖くて、あたしはさっき手渡した"偽造用"の毛布の存在をアリスが忘れていないことを願った。
自分の部屋にあがろうとすれば、アリスにぎゅっと腕をつかまれる。
目元が濡れていないことをさっと確認して、あたしはゆっくりと振り向いた。
「今日はここで眠りなさい。ちゃんと二階に運んでおいてあげるから」
言い含めるようなアリスの言葉に、あたしは小さく頷いて横になった。

(あとがき)
5〜6巻のベラ。このときの彼女は本当に壊れてしまったようで切ないです><
6巻でアリスが登場するときが一番救われます。

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